例えば、暴力団組長の浜田(仮名、以下名前は仮名)がその子分である東野に、他の組員松本を痛めつけるように指示して痛めつけさせた場合、組長浜田は自ら手を下していなくても松本に対する傷害罪の教唆犯が成立する、ということは簡単にわかる。これは他者を傷つけることが違法であるからである。当たり前な話である
では、自分で自分を傷つける行為は違法なのか?
刑法の目的は法益保護と人権保障にある。自分で自分の法益を放棄することは自由で、自損行為として合法であり、自己堕胎罪を除いてはそれを罰する規定はない。
私見である修正惹起説では、共犯(浜田)の違法は、正犯(東野)の違法に完全に依存し、違法の相対性は否定される。そして、共犯は正犯者の構成要件に該当する違法な行為を惹起することによって結果(=悪いこと、という意味)を惹起したから処罰される以上、正犯なき共犯は否定される。
つまりわかりやすく言うと、東野→松本=違法、なのでそれをそそのかす浜田も違法。
東野→東野=合法、なのでそれをそそのかす浜田も合法ということになるのである
たとえ組長浜田の指示があったとしても、東野が自分で自分の指を切り落とすという自損行為は不可罰なので、傷害罪の教唆犯にはならない。よって、組長浜田は無罪である。(ただし場合によっちゃ強要罪の可能性もあるが、ここでは敢えて触れない。)
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